ピューロランド館長・小巻亜矢さんを株主目線で分析|経歴・V字回復とこれからの計画

サンリオ小巻亜矢氏
この記事の結論
  • 小巻亜矢さんは、ピューロランドとハーモニーランドを運営する子会社の社長。専業主婦から復帰した異色の経歴です
  • パークの売上は3年で約1.8倍。一方、2026年3月期は増収でも利益はほぼ横ばいでした
  • 次の注目は、8月の値上げの効果と、ハーモニーランドのリゾート化(初期投資 約100億円)です

よくばり夫婦です。

私たちはサンリオの株を長期で持ちながら、短期の売買もしています。

娘とピューロランドにもよく出かけていて、株主だけが入れる「株主特別デー」にも参加してきました。

そんなサンリオが大好きな私たち。

今回は、サンリオのテーマパークを任されている小巻亜矢(こまき・あや)さんについて調べてみました。

経歴に加えて、ピューロランドとハーモニーランドの実績と、これからの計画を、決算資料やIRデータ、報道で確認しました。

2026年9月26日時点の公開資料にもとづいています。特定の銘柄の購入をすすめるものではありません。

目次

小巻亜矢さんはどんな人?

小巻さんは、株式会社サンリオエンターテイメント(以下、SE)の社長で、サンリオピューロランドの館長も務めています。

年できごと
1959年東京都生まれ
1983年サンリオに新卒で入社。1年足らずで結婚退職
37歳まで専業主婦
復帰後化粧品の販売員を経て、サンリオの関連会社で化粧品事業の研究所長に
2013年東京大学大学院(教育学研究科)の修士課程を修了
2014年SEの顧問として、ピューロランドの立て直しに加わる
2016年ピューロランド館長
2019年SE社長

出典:松竹の有価証券報告書(2026年2月期)、ダイヤモンド・オンライン(2019年3月)、Wikipedia。
入社年は1982年とする資料もありますが、有価証券報告書とご本人の寄稿にある1983年としました。

ほかに、子宮頸がん予防の啓発活動「Hellosmile」を2010年に立ち上げています。

社外では、松竹と富国生命の社外取締役も務めています。

どちらもピューロランドと縁のある会社で、松竹は2018年から上演している「KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~」を監修し、富国生命は「サンリオキャラクターボートライド」を提供する協賛企業です。

きっかけは、客として書いた1通の手紙

小巻さんは、客としてピューロランドに3回足を運び、気づいたことを手紙にまとめて、創業者の辻信太郎さん(当時社長)に送りました。

手紙には「ピューロランドは可能性に満ちています」と添えたそうです。

これがきっかけで、2014年にSEの顧問としてピューロランドに赴任します。驚きですよね。

ご本人は、それまでテーマパーク事業に関わったことはなく、エンタメについても「まったくの素人」だったと話しています。

「改革」という言葉を使わない立て直し

小巻さんの進め方で印象的なのは、「改革」という言葉を使わなかったこと。

改革と言うと、これまで頑張ってきた人を否定する印象を与えてしまうからだそうです。

新しいことは「まずお試しでやってみましょう」と小さく始めました。

具体的には、次のような取り組みが知られています。

  • 朝礼を1日に何度も行い、アルバイトスタッフにも直接、情報と思いを伝えた
  • 「優しく話す、温かく聞く」をコミュニケーションの合言葉にした
  • 子ども中心だった客層を、大人の女性にも広げた

朝礼は、平日は1日9回、休日は多い日で1日17回です。

スタッフは多いときで約300人いて、出勤時間がばらばらなことも理由の一つだそうです。

赤字の時期で人件費が増えるため、社内では反対の声も多かったそう。

2019年には、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられました。

サンリオグループの中での立ち位置

SEはサンリオの100%子会社です。

東京・多摩のピューロランド(1990年開業)と、大分のハーモニーランド(1991年開業)を運営していて、従業員は544人です(2026年5月時点)。

SEの取締役には、サンリオ専務の中塚亘さんや、常務執行役員の松本成一郎さんなど、サンリオ本社の幹部も入っています。

本社がSEの経営をしっかり見ている体制です。

一方で、小巻さんはサンリオ本社の取締役ではありません。

有価証券報告書に載っている執行役員の一覧にも、名前はありません。あくまで子会社の社長という立場です。

ピューロランドの実績|V字回復からコロナ、そして過去最高へ

コロナ前:5年で来場者がほぼ2倍に

ピューロランドの来場者は、開業直後の1991年度には約195万人でしたが、その後は落ち込み、2009年度には約108万人まで減っていました。

小巻さんが加わってからは、2013年度の約114万人から、2018年度には219万人と、5年でほぼ2倍になったと報じられています。

平日1日あたりの来場者は、2014年から2018年で4倍を超えたそうです。

ただし、来場者数は資料によって数え方が異なり、2018年を193万人とする記事もあります。コロナ後の数字とは、そのまま比べないほうがよさそうです。

コロナ禍:最終赤字25億円、債務超過も

コロナ禍では休園や入場制限が続き、SEは2021年3月期に約25億円の最終赤字を出しました。

その後、業績は回復しましたが、SEは2024年3月期まで、負債が資産を上回る「債務超過」の状態でした。

これを解消したのは2025年3月期。2026年3月期の時点でも、過去の赤字の累積はまだ残っていると報じられています。

コロナ後:売上は3年で約1.8倍

サンリオが公表しているIRデータで、SEの業績を見てみます。

2023年3月期から2026年3月期までの3年で、売上高は約1.8倍、営業利益は約1.9倍になりました。

ピューロランド23年3月期26年3月期
入園者数118万人153万人(+30%)
客単価(目安)6,429円8,866円(+38%)

出典:IR DATA。客単価はパーク内での売上÷入園者数で、入場料以外の売上は含みません。年度の値は四半期ごとの数字から計算した目安です

入園者数も増えましたが、それ以上に伸びたのが客単価です。

イベントに合わせた限定グッズや食事メニューが好調だったと、決算資料でも説明されています。

気になるのは、2026年3月期の「利益横ばい」

一方で、2026年3月期は売上高が+16%だったのに、営業利益は+0.6%とほぼ横ばいでした。

特に2026年1〜3月期の営業利益は約0.9億円で、前年同期の約3.9億円を大きく下回っています。

会社は、両施設で販売費及び一般管理費が増えたと説明しています。

2025年12月には、約10年ぶりに新しいメインパレードも始まりました。

ただ、費用の内訳は公表されていないため、何がどれだけ利益を押し下げたのかはわかりません。

2027年3月期の第1四半期(4〜6月)は、売上高が+20%、営業利益が+10%と、2桁の増収増益でした。

ピューロランドは、第1四半期として過去最高の来場者数だったそうです。

サンリオ全体の中では「利益の約4%」

SEの2026年3月期の営業利益は約30億円で、サンリオ全体の営業利益778億円の約4%です。

ライセンス事業や物販に比べると、業績への影響はかなり小さい事業です。

それでも、有価証券報告書では、テーマパークはキャラクターとブランドを育てるための「消費者とのタッチポイント」として重要だと書かれています。

株主優待でも、パークのチケットがもらえます。

株主として見ると、稼ぎ頭ではなく、ファンがキャラクターに会いに来る場所だと考えるのがよさそうです。

ハーモニーランドの実績と「エンタメリゾート化」

売上は3年で約1.8倍

大分のハーモニーランドも伸びています。

ハーモニーランド23年3月期26年3月期
売上高21.5億円37.9億円
営業利益1.6億円3.3億円
入園者数42万人54万人

出典:IR DATA

2025年4月には、大分空港が「大分ハローキティ空港」になりました。

「天空のパーク」構想

SEは2025年12月、ハーモニーランドをリゾートにする構想を発表しました。サンリオとして初めての取り組みです。

  • 地形を生かした「天空のパーク」
  • 雨や暑さを気にせず過ごせる大屋根
  • ロープウェーや電動の乗り物
  • 隣接エリアでのホテル建設の検討

2026年6月には、周辺の土地約30.85ヘクタールを取得したと発表しました。

今のパークと駐車場(約8ヘクタール)の約3.8倍にあたります。

シンボルのキティキャッスルの改修や、新しい飲食施設(2026年度中のオープンが目標)も予定されています。

投資額は、2026年の株主総会で「初期フェーズにおいて他のパートナーとあわせて約100億円規模」と説明されました。

全体では数百億円規模になると報じられています。

小巻さんは、目指す姿を「世界でいちばんやさしい場所」と表現しています。

一方で、「イメージしていることが出来るまでには10年ぐらいはかかるかな」とも話していて、長い時間をかける計画です。

株主総会では、投資の判断について、リゾート単体の収益だけでなく、ファンが増えることによるライセンス事業への効果も含めて評価すると説明がありました。

ピューロランドのこれから

ピューロランドでも、新しい動きが続いています。

時期内容
2025年12月約10年ぶりの新メインパレード「The Quest of Wonders Parade」開始
2026年8月入場料を改定(下の表)
2026年12月上旬誰もが安心して楽しめるようにする体験プログラムを開始予定(ヘラルボニーとの共同プロジェクト)
今後仮想空間の「Vピューロランド」の常設化、海外を巡回する体験型施設(LBE)の展開

出典:サンリオ決算説明資料(2027年3月期 第1四半期)、SEのニュースリリース、報道

2026年8月から最高6,900円に

1日パスポート改定前2026年8月1日から
大人3,900〜5,900円(7段階)3,900〜6,900円(10段階)
高校生以下・シニア2,800〜4,800円(7段階)2,800〜5,800円(10段階)

出典:トラベル Watch(2026年7月30日)

会社は、価格の段階を増やして、混む日とすいている日の差をならすためと説明しています。

最も安い価格は据え置き、混む日の上限を1,000円上げた形です。

ここ数年の成長は、主に客単価の上昇によるものでした。

値上げで売上がさらに伸びるのか、それとも客足が落ちるのかは、今後の決算で確認したいところです。

気になる点:個人情報の流出

2025年1月には、SEがランサムウェアの被害を受け、最大約200万件の個人情報が流出した可能性があると公表しました。

サンリオは、対応費用約0.6億円を特別損失に計上しています。

業績への影響は小さかったものの、顧客情報を扱う事業として、再発防止ができているかは見ておきたい点です。

株主として見たピューロランド

我が家は2025年と2026年、娘と一緒に株主特別デーに参加しました。

子連れでも楽しみやすい雰囲気で、「サンリオの株を持っていてよかった」と思える1日でした。

日中は普段の土日並みの混雑で、サンリオの人気をパークでも実感しました。

パレードやショーも家族で鑑賞しました。

かわいいだけで終わらない、ストーリー性のある演出に、思わず涙が出そうになりました。

こうした体験の積み重ねが、キャラクターのファンを増やしているのだと思います。

株主特別デーと株主総会で見た小巻さん

雨の中、カッパ姿でお客さんを見ていた

株主特別デーで、入場を待って並んでいたときのことです。

その日は雨でしたが、小巻さんと思われる方が、カッパを着て、並んでいるお客さんの様子を見ていました。

株主しかいない日なので、当然といえば当然かもしれません。

それでも、株主総会で見たときと同じ、真摯な姿勢を感じました。

株主総会でも、粛々と

株主総会でも、小巻さんの姿を見かけました。

発言はありませんでしたが、横柄な感じはなく、粛々と参加していました。

2026年の総会の質疑応答要旨を見ると、ハーモニーランドのリゾート化や、ポチャッコの姿の変更といったパークに関する質問にも、答えていたのは辻社長でした。

持株数や報酬は開示されていない

小巻さんの持株数は公開されていません。

有価証券報告書に持株数が載るのは、サンリオ本社の取締役だけです。

小巻さんは子会社の社長なので、記載の対象外になります。

持っていないという意味ではなく、持っているかどうかが公開情報からはわからないということです。

報酬も同じです。SEは上場していないため、社長の報酬は開示されていません。

そのため、小巻さんについては、持株で「株主と同じ方向を向いているか」を確かめることはできません。

パークの業績と、実際に行って感じる体験の質で見ていくことになります。

これから見ていきたいこと

2026年9月現在、以下の点に特に留意しておこうと思います。

  1. 11月の決算:8月の値上げ後、客単価と来場者数がどう動いたか
  2. 利益率:費用の増加を、売上の伸びで吸収できるか
  3. ハーモニーランド:投資額やホテルなど、計画がどこまで具体的になるか
  4. Vピューロランドや海外展開:パークの外でも、体験を事業として広げられるか

最後に

小巻さんは、客として書いた1通の手紙から、人との対話でピューロランドを立て直した経営者だと感じました。

一方で、パークの利益はサンリオ全体の約4%で、2026年3月期は伸びが止まっています。

値上げとハーモニーランドのリゾート化で、次の成長をどう作るのか。

持株で判断できないぶん、決算と、雨の中でお客さんの様子を見ていたような現場の姿勢の両方で、見ていきたいと思います。

本記事は個人の考えをまとめたもので、特定の銘柄の購入をすすめるものではありません。株価は業績や市場環境で大きく変動します。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

参考資料

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この記事を書いた人

30代共働き夫婦と4歳の娘の3人家族。都内のサラリーマンとして10年以上働きながら、投資歴10年以上で総資産6,000万円超に。入社時から資産形成を意識していましたが、保険見直しや無駄な支出カットなどの試行錯誤を重ね、今ではFIREを目指しています。
実際の投資成績、家計、資産推移をありのままに発信します。

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