- 2026年10月16日の株価1,307.5円は、私たちの試算ではほぼ適正(適正株価1,247円)
- 来期も増益が続けば、1年後は1,422円、5年後は2,040円前後
- 割安ラインは1,100円。我が家は1,200円以下から少しずつ買う予定
よくばり夫婦です。
私たちはサンリオの株を長く持ちながら、日々の売買もしています。

2026年は5月の安値818.8円から8月の高値1,470円まで、とにかく値動きの大きい年でした。
では、今のサンリオの株価は高いのか、安いのか。
来期の予想PERとPBRの推移から、1年後・5年後の株価と、買いを入れる目安を計算しました。
ただの推定ですが、筋道を立てると「こう考えるとこの金額になる!」という目安が見えてきました。
サンリオの今の株価と指標(2026年10月16日時点)
まず、計算の出発点になる数字として、今の株価と指標を整理しました。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価(10月16日終値) | 1,307.5円 |
| 今期(2027年3月期)の会社予想EPS | 52.62円 |
| 予想PER | 24.8倍 |
| 1株当たり純資産(2026年6月末・試算) | 約135円 |
| PBR | 9.7倍 |
| 予想配当(年間) | 16円(利回り1.22%) |
| 時価総額 | 約1.7兆円 |
| 年初来高値/安値 | 1,470円(8/10)/818.8円(5/7) |
| アナリストの平均目標株価 | 1,531円(13人、10/9時点) |
出典:2026年3月期 決算短信、2027年3月期 第1四半期 決算短信、Yahoo!ファイナンス、みんかぶ。1株当たり純資産は6月末の自己資本1,631億円を発行済株式数(自己株式を除く)で割った試算です。
今期の会社予想は、売上高2,298億円(前期比+18.4%)、営業利益895億円(同+15.0%)、純利益638億円(同+16.8%)。
3期連続の過去最高益を見込んでいます。
業績は伸びているのに、株価は8月の高値から1割強下にあります。
この差をどう考えるかが、今回のテーマです。
コロナ後の利益の伸びは、毎年はっきり減速している
最初に、コロナ後の1株当たり利益(EPS)の伸びを並べます。
| 決算期 | EPS | 前期比 | ROE |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 2.83円 | - | 8.5% |
| 2023年3月期 | 6.75円 | +138% | 16.4% |
| 2024年3月期 | 14.62円 | +117% | 29.2% |
| 2025年3月期 | 35.32円 | +142% | 48.6% |
| 2026年3月期 | 45.33円 | +28% | 41.6% |
| 2027年3月期(会社予想) | 52.62円 | +16% | 約36%(試算) |
出典:決算短信、有価証券報告書(EDINET DB)。2024年(1株→3株)と2026年(1株→5株)の株式分割を調整し、現在の株数基準にそろえています。
2025年3月期までは、毎年2倍以上のペースで利益が伸びていました。
それが前期は+28%、今期の会社予想は+16%です。
コロナ後3年間(2024年3月期→2027年3月期予想)の平均の伸びは、年53%になります。
これをそのまま来期に当てはめると、来期のEPSは80.6円。
今の株価は来期PERで16.2倍となり、かなり割安に見えます。
ただ、伸び率は+142%→+28%→+16%と急ブレーキがかかっています。
過去の平均をそのまま延ばすと、楽観的すぎる数字になります。
そこで今回は、「減速が続く」ことを前提に来期を見積もりました。
適正株価の出し方(4ステップ)
ステップ1:今期EPSは会社予想の52.62円を使う
今期のEPSは、会社予想の52.62円をそのまま使います。
第1四半期は、通期の営業利益予想に対する進み具合が25.1%と、計画どおりでした。
一方で会社は、第1四半期の利益が良く見える理由を「販管費約20億円が第2四半期以降にずれたため」と説明しています。
今期については、まだ上振れを見込む材料がないと判断しました。
ステップ2:来期EPSは+14%の60.0円と置く
来期(2028年3月期)の伸びは+14%とし、EPSは60.0円です。
会社が掲げる「10%以上」より強気に見えるかもしれません。
それでも+14%にしたのは、サンリオの会社予想がもともと控えめだからです。
①中期経営計画の目標を毎年引き上げてきた
2027年3月期の目標「営業利益650億円以上」に対して、今期の会社予想は895億円です。
②前期は予想を上回り続けた
期中に上方修正を重ね、それでも純利益は最終予想(520億円)を5%上回る546億円で着地しました。
③予算の前提は「10%以上」
6月の決算説明会の質疑応答では、今期の予算は営業利益の前年比10%以上の成長が前提だと説明されています。
④利益をあえて抑えている
6月の決算説明資料のQ&Aで、会社は次のように答えています。
戦略投資を抑制すれば、単年度においてより高い利益水準を実現できるポテンシャルがあると認識しております
今期の営業増益+15%は、ゲームやマーケティングへの投資とのバランスで意図的に抑えた数字です。
自社ゲームの収益が出てくるのは来期以降で、米州でも「28/3期以降の成長に向けた複数の新規案件」が進んでいると説明されています。
会社の見通しが控えめなぶん、減速は続いても今期並みの伸びは保てると見ました。
ステップ3:PERは23.7倍を当てる
次に、利益に何倍の評価がつくかです。
過去2年間の予想PERの平均は30.9倍でした。
ただ、この期間には利益が毎年2倍以上伸びていた時期が含まれます。
伸びが落ちた今の会社に、同じ倍率は当てはめられません。
そこで、今の基調(成長が鈍った2025年11月6日以降)に絞って集計しました。
| 予想PER(今の基調:2025/11/6〜2026/10/16、227営業日) | 倍率 |
|---|---|
| 平均 | 23.7倍 |
| 標準偏差 | 2.3倍 |
| 最も低かった日 | 19.5倍 |
| 最も高かった日 | 32.0倍 |
出典:かぶれん(PERの日次推移)をもとに集計。株式分割の影響で数値が飛んでいた2日を除いています。
今の基調での市場の評価として、この平均23.7倍を使います。
ステップ4:掛け算する
あとは掛け算です。
| 項目 | EPS | PER | 株価 |
|---|---|---|---|
| 今の適正株価 | 52.62円 | 23.7倍 | 1,247円 |
| 1年後の適正株価 | 60.0円 | 23.7倍 | 1,422円 |
今の適正株価は1,247円、1年後の適正株価は1,422円となりました。
今の株価1,307.5円は、適正株価を5%ほど上回っています。
それでもPERは24.8倍で、今の基調の平均±標準偏差(21.4〜26.0倍)の範囲に収まっています。
高くも安くもない水準というのが、今回の試算の答えでした。
1年後の1,422円は、来年5月ごろに来期の予想が出て、それが今回の見積もりどおりだった場合の株価です。
PBRでも確かめてみた
PERだけでは心もとないので、PBR(株価純資産倍率)でも確かめました。
PBRは「PER × ROE」でも表せます。
サンリオはROEが高い会社ですが、利益で現金がどんどん積み上がるため、自己資本が膨らんでROEは下がってきています(前期48.6%→今期約36%)。
6月末時点のネットキャッシュは1,235億円ありました。
| PBR | 2年間 | 今の基調(2025/11/6以降) |
|---|---|---|
| 平均 | 12.2倍 | 8.9倍 |
| 標準偏差 | 3.4倍 | 0.8倍 |
| 最も低かった日 | - | 7.4倍 |
出典:かぶれん(PBRの日次推移)をもとに集計
今のPBRは9.7倍で、今の基調の平均8.9倍よりやや高めです。
1年後の適正株価1,422円を、今期末の1株当たり純資産の見込み(約165円)で割ると8.6倍。
今の基調の平均8.9倍に近い水準です。
PERで出した答えと、PBRで見た答えがそろいました。
なお、2年間の平均(PER30.9倍、PBR12.2倍)を当てると、適正株価は1,620〜1,640円になります。
ただ、これは利益が倍々で伸びていた時期の評価なので、今回は使いませんでした。
5年後の株価は2,040円と試算
5年後は、伸び率を毎年1ポイントずつ下げて計算しました。
| 決算期 | 伸び率 | EPS |
|---|---|---|
| 2028年3月期 | +14% | 60.0円 |
| 2029年3月期 | +13% | 67.8円 |
| 2030年3月期 | +12% | 75.9円 |
| 2031年3月期 | +11% | 84.3円 |
| 2032年3月期 | +10% | 92.7円 |
最後の+10%は、会社が長期ビジョンで掲げている「営業利益の10年平均成長率10%以上」の下限です。
株主総会では、松本常務執行役員が「年平均10%以上の成長(CAGR)を目指す」と話し、「”以上”がポイント」とも強調していました。
私たちの試算は、5年目にその下限まで落ちる前提なので、会社の言葉より控えめな見方です。
成長が落ちる分、PERも22倍に下げます。
92.7円 × 22倍 ≒ 2,040円
5年間の配当の合計は約100円の見込みなので、今の株価から見ると、配当込みで年率およそ10%のリターンになります。
ちなみに、会社は2035年3月期までに時価総額5兆円を目指しています。
5兆円を今の株数で割ると、1株あたり約4,124円です。
ただ、これを達成するには純利益が今期から8年間、毎年13〜15%伸び続ける必要があります。
総会でも、既存の事業だけでは届かず、ゲームやデジタルで広げていくという説明でした。
いくらなら割安?割安ラインは1,100円
ここまでで「適正」は出せました。
では、いくらまで下がったら「割安」と言えるのか。
5つの物差しで計算しました。
| 物差し | 考え方 | 価格 |
|---|---|---|
| PERが平均より低い | 会社予想EPS 52.62円 × 21.4倍(平均−標準偏差) | 1,127円 |
| PBRが平均より低い | 1株当たり純資産 約135円 × 8.1倍(平均−標準偏差) | 1,090円 |
| 15%の安全余裕 | 今の適正株価1,247円 × 0.85 | 1,060円 |
| 5年で年率15%になる | 5年後の2,040円+配当100円から逆算 | 1,065円 |
| 来期PERが過去最低 | 来期EPS 60.0円 × 19.5倍 | 1,171円 |
5つとも1,060〜1,170円に集まりました。
真ん中あたりの値をとって、割安ラインは約1,100円としました。
1,000円前後はバーゲン
PER19.5倍、PBR7.4倍の水準です。
これは5月に、元常務取締役の不適切な報酬受給の問題で決算発表が延期され、年初来安値まで売られたときと同じ倍率です。
業績が崩れていないのにこの価格(1,000円前後)なら、パニックで売られた水準と考えます。
1,370円を超えたら割高
今期EPSに対してPER26倍(平均+標準偏差)を超える水準で、52.62円 × 26倍で約1,370円です。
来期の成長を先取りし始めた価格と言えます。
8月10日の1,470円(終値1,454.5円、PER27.6倍)は、まさにこの水準でした。
そこから決算で通期予想が据え置かれ、2日後に一時18%安まで売られています。
👉この急落で、私たちはサンリオの売買で2日間に約40万円の損失を確定しています。そのときに何をしたかは、こちらで振り返っています。

シナリオ別の株価
中心シナリオ以外も並べておきます。
| シナリオ | 前提 | 1年後 | 5年後 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 伸び率8%→6%、PER19.5倍(5年後18倍) | 1,110円 | 1,340円 |
| 中心 | 伸び率14%→10%、PER23.7倍(5年後22倍) | 1,422円 | 2,040円 |
| 強気 | 今期4%上振れ、伸び率17%→13%、PER27.6倍(5年後27倍) | 1,770円 | 2,970円 |
| 会社の目標 | 2035年3月期に時価総額5兆円 | - | 4,124円 |
アナリスト13人の平均目標株価は1,531円です。
中心シナリオの1年後1,422円は、それより少し慎重な見方になりました。
決算資料と総会で見えた「強気なところ」
数字の前提を置くうえで、決算資料や、私たちが出席している株主総会での発言から、強気な姿勢が読み取れたところをまとめました。
👉株主総会で見た辻社長の様子や、経歴・持株数は、こちらの記事にまとめています。

時価総額5兆円を掲げている
2035年3月期までに時価総額5兆円(今の約3倍)、営業利益の10年平均成長率10%以上が長期ビジョンです。
株価を重視している
株価を重要な経営指標と位置づけ、良い投資先がなければ最大300億円の追加還元や、機動的な自社株買いも検討するとしています。
ゲームが来期から収益化
自社ゲーム第1弾「サンリオ パーティランド」を10月29日に発売。
2029年3月期末までに約10タイトルを出す計画で、収益への貢献は来期以降です。
海外が伸びている
今期の計画は、アジアの貢献利益+24.5%、欧州+42.4%。
第1四半期は欧州+56.6%、中国の店舗数は62店まで増え、中国の物販売上は+125%でした。
👉海外事業を担当する専務・中塚亘さんの記事では、地域ごとの成績をもう少し詳しく見ています。

北米と映画
北米のシェアを約4%から2035年3月期に10%へ。
2028年7月にはワーナー・ブラザースによるハリウッド映画の公開を予定しています。
出典:2026年3月期 決算説明資料(決算に関するQ&A)、2027年3月期 第1四半期 決算説明資料、サンリオ 財務戦略・中期経営計画ページ、株主総会での発言
注意しておきたいこと
もちろん、気になる点もあります。
伸び率の減速
営業利益の伸びは前期+50%から、今期計画は+15%へ。
第1四半期で通期予想を据え置いたことが、8月の急落につながりました。
第1四半期の上振れは費用のずれ
販管費約20億円が第2四半期以降に回っています。
日本と北米の利益
日本の貢献利益は今期計画で−3.8%(世界向けの投資を本社で計上するため)。
北米は関税の影響が続いています。
ガバナンス
元常務取締役が米国子会社から約2.5億円の経済的利益を受け取っていました。
業績への虚偽は確認されていないものの、信頼回復はこれからです。
需給
信用取引の買い残が約1,600万株、信用倍率は9.5倍(10月9日時点)。
株価が戻ると売りが出やすい状態です。
事業のリスク
有価証券報告書でも、キャラクター人気への依存、為替、海外展開のリスクが挙げられています。
次の答え合わせは第2四半期決算
この試算が当たっているかどうかは、次の決算で少しずつ見えてきます。
第2四半期決算は例年11月上旬です(2025年は11月5日)。
上期の営業利益計画423億円に対して、第1四半期は224億円。
第2四半期に199億円あれば達成です。
ただ、第1四半期に使わなかった販管費約20億円が第2四半期に乗ってきます。
北米についても、会社は第1四半期の説明会で、上期は想定どおり弱く下期で取り返すと説明していました。
そのうえで通期予想が引き上げられるかどうか。
ここが、1年後1,450円のシナリオに近づけるかの分かれ目だと考えています。
我が家はこの数字をこう使います
日々の売買は、これまでどおり続けます。
そのうえで、市場全体が大きく下がる暴落のときには、サンリオを大きく買い込むことを考えています。
今回の試算を踏まえた目安は次のとおりです。
| 株価 | 我が家の動き |
|---|---|
| 1,200円以下 | 気にし始めて、少し手を出す |
| 1,127円前後 | まとまった量を買い始める |
| 1,100円 | 本格的に買う |
1,200円は、今の適正株価1,247円を下回り、5つの物差しで最も高い1,171円が近づいてくる水準です。
1,127円は、PERが今の基調の平均より標準偏差1つ分低い21.4倍になる水準。
1,100円は、5つの物差しの真ん中あたりです。
最後に
コロナ後の伸びをそのまま延ばすと激安に見えますが、減速を前提にすると「今はほぼ適正」という答えになりました。
前提の数字が1つ変わるだけで、答えは大きく変わります。
次の決算が出たら、同じ物差しで計算し直して、この記事も更新する予定です。
👉日々の売買の成績は、毎月の日本株レポートで公開しています。

参考資料
- サンリオ「2026年3月期 決算短信」(2026年6月23日)
- サンリオ「2026年3月期 通期 決算説明資料」(2026年6月23日、決算に関するQ&Aを含む)
- サンリオ「2026年3月期 決算説明会 質疑応答要旨」(2026年6月23日)
- サンリオ「2027年3月期 第1四半期 決算短信」「同 決算説明資料」「同 決算説明会 質疑応答要旨」(2026年8月10日)
- サンリオ「第66回定時株主総会 質疑応答要旨」(2026年6月25日)
- サンリオ「財務戦略」「中期経営計画」(会社ウェブサイト)
- 有価証券報告書(EDINET)
- かぶれん「サンリオのPER・PBRの推移」
- みんかぶ「サンリオのアナリスト予想」、Yahoo!ファイナンス

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